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谷本有香のエッセイやコラムなど。

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リーダー×フォロワー

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ふと思ったのだけれど、私は社会人になってから、いわゆる「部下」とか「後輩」というものを持ったことがない。
最初のキャリアの証券会社では、残念ながらそのような機会に恵まれなかったし、その後も、外資系に属していたり、フリーランスとして働いてきたことで、年齢的には自分より下の人が入ってきても、同じステイタスの一プロフェッショナルとして同列の扱いであることが多く、常に先輩について教えを請うことや、反対に、後輩に何かを伝授していったりという関係になったことがない。
これは、教えを請わなければならない立場の場合、自分ひとりで学んで、しかも即、成果につながるようなパフォーマンスを上げなければならなかったりして、結構しんどい。
また反対に、後輩に色々面倒を見て教えてあげたいなとは思っても、それぞれプロとしてのやり方も考え方もプライドもあるだろうからと、何かを教えることにも躊躇してしまい、どうしても良き徒弟関係のようなものが構築しにくい。

そんなことを考えていたら、10年以上、外資系で働いてきて、最近、日系企業に転職した友人の女性が「日本企業の素晴らしいところは、どんなポジションにいても、常に上には何かを教えてくれる先輩がいて、その伝統が脈々と受け継がれていることだ」と実感込めて言っていた。
つまり例えば、入社1年目の人には、2年目の人が教えてくれるし、5年目になっても、その人には6年目、7年目の人たちが教えてくれる。そして、そのまた上の人たちには更に上の人たちがメンターとして指導してくれるという。
そんな単純なものでもないような気がするが、少なからず、そういう文化はあるようだ。

そう思うと、日本は国も企業もリーダーシップがないといわれる昨今だが、少なくとも日本企業では、後輩を持つ人ならば誰でも、1対1においてはリーダーシップ、コーチング力は磨かれ続けていると考えられそうだ。
しかも同時に、常に上の人からマンツーマンで教えを請い、後輩・部下として、先輩や上司、または企業のために尽力し続けるというフォロワーシップをも身につけることが出来る。
一人の人間が企業内で、どんなポジションにいようとも、リーダーとして、そしてフォロワーとしての資質を同時に持ち合わせるという。
これは日本企業にとって大きな強みとならないか。
大企業を引っ張っていくような偉大なるリーダーシップはなくとも、日本企業特有のこの組織構造である積み重なったリーダーシップとフォロワーシップの力の厚みが、日本企業を再び躍進に導けないか。

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