自由に思いを綴る場所

谷本有香のエッセイやコラムなど。

仕事や現代の社会、経済ビジネスのこと、日々の出来事など幅広く自由に綴っていきます。

A CHORUS LINEとプロフェッショナリズム

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コーラスライン、観てきました!!
いつもの事ながら、本当によかった・・。感動をひきずりながら帰ってきました。
しかし、このコーラスライン。いつ観ても勇気や元気が貰える大好きな作品なのですが、特に今回のキャストは、前回観劇した時よりも、私はそれぞれの役柄にしっくりきていたように感じ、より満足度の高いものでした。

そもそも私が何故この作品をここまで愛すのか。
ドキュメンタリー映画の「ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢」、ご覧になりましたでしょうか?
それを見ると、更にこの「コーラスライン」の世界が生々しく伝わってくるかと思うのですが、プロもアマも問わず、ただ実力ある者のみが夢やチャンスを掴むことのできる厳しい世界に生きる人たちの物語は、フリーランスで生きる一個人として、非常に共感する部分が多いのです。だからこそこの作品は、私にとってバイブルであり、心のビタミン剤でもあります。

ブロードウェイは、全米中だけではなく、全世界からその舞台に立ちたいという者が集まり、技術は勿論、ギリギリまでの精神的なプロフェッショナル性を求められます。
しかも、オーディションが進むにつれて、残っている人たちは、皆、輝かしいキャリアを持っている人ばかり。そんな既にプロの中のプロたちでさえも、これまでのキャリアに関係なく、役を獲得するために、一個人として1年近くにも及ぶ長いオーディションに臨んでいく。
一つの席を巡って、1番になれた者だけが勝って栄光を掴み、2位以下のものは何も与えられないという大変シビアな世界です。
最終オーディションの段階では、経歴もそうですが、実力さえも、もはや関係ないのかもしれません。何故なら、実力があるのは当たり前で、その重要な一瞬に最大限の力を発揮できる瞬発力や、運、そして、人を感動させたり、魅了させる“何か他の重要な要素”を持っている人こそが、そのチャンスを掴む事が出来るからです。
しかも、その“何か”は、必ずしもどのオーディションでも同じではないかもしれません。時代が変われば、そして、審査員が変われば、舞台が変われば、求められる“何か”も違ってくるでしょう。
また、その求められる“何か”は、すぐに身につくものでもありません。
思考錯誤して、努力を重ねて、自らを究極まで追い込んだ結果、何か言葉では表現の出来ない形で、人々に伝わっていくものなのかもしれません。

このミュージカルからは、夢を追いかけることの素晴らしさ、そして同時に、その夢を得るまでに、多大なるエネルギーを持ち続けなければいけないことを教えられます。それは又、その夢を掴む一瞬のチャンスの為だけに、甚大なる努力を惜しまないことをも示唆しています。

だからこそ、選ばれし者たちが織りなす作品は、人々に夢や希望、感動を与えるのです。
勿論、涙が止まらなくなりそうな感動のフィナーレは有名ですが、この作品を通して、役柄としてのダンサーたちと、この舞台に立つ事が出来た一人のプロとしてのダンサーたちから、私は人間としての生き様や、プロフェッションへの向き合い方を考えないわけにはいきません。

プロの仕事というものは、こうでなければいけないと心から実感します。
このミュージカルは、私にとっての「踏み絵」でもあります。
本当に仕事というものに対して、真摯に、真剣に向き合っているのか?
努力は惜しんでいないか?
それは独りよがりになっていないか?
多くの人たちに、求められているものを提供できているか?
そして、それ以上の“何か”を与えられているだろうか?

残念ながら、必ずしも、実力ある者だけが生き残るというシンプルな世界ではなくなっていることが、より現状を複雑化させている部分もあるかもしれません。
しかし、本物のプロフェッショナリズムは、そういう複雑化した時代においても揺るぎないものである筈です。
私はこれからも自分をインスパイアさせてくれるような多くのプロフェッショナルにお会いしたいし、そして何よりも、自身がその領域に入れるように、原題(Every Little Step)にあるように、小さな一歩一歩を積み重ねていきたいです。

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