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谷本有香のエッセイやコラムなど。

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30代最後の日に思う

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あと1時間で私の30代が終わる。
こんな年齢をあけすけに書くのは女性としてどうかという気もするが、私にとって非常に重要な変わり目になりそうなので、あえてこの日に記しておきたい。

勿論、これはただの通過ポイントに過ぎず、この日を境に何かが大きく変わるということはないだろうし、今日と明日で特別な違いは何も生まれない筈だ。
しかし、恐らく、後で振り返ってみれば、きっと40代は、30代とは全く違う働き方や生き方、社会とのかかわり方をしていると思うし、そうしなければならないと思っている。

私の30代は、ただただひたすら走り続けた10年だった。
トップインタビューをしてきた中で、経営に興味を持ち、企業経営というものを学術的にとらえ、それを実務者教育に落とし込んでいるアメリカの経営学をその地で学んでみたいと、31歳でMBA留学を決意し、結果的に、本当に多くのことを学んだ。
それはアカデミックなことだけではなく、海外で生活すること、アメリカという国のこと、日本人以外の人たちの考え方、物の見方、多種多様な人種の中における日本人という人種、日本という看板、日本特有の文化、思考、また、何よりも遠く離れてみて見えてきた日本の姿。
それは、グローバルの荒波の中に漂う孤島の如く映った。

その後の30代の大部分を占めた経済番組の世界でも、その気持ちを強くした。
アジアの新興諸国の台頭、活気を取り戻すことは出来ないようなもどかしさにかられた日本の株式市場、混迷深める政治、世界のうねりのような潮流の中で身動きがとれないように見える日本。また、国際会議などの舞台でかすむ日本の存在を目の当たりにし、愕然としたのも記憶に新しい。

その経験が、その後の私のライフワークの一つにもつながっている。
何もできないだろう。
しかし、微力ながら何かの形でこの国を元気にしていけるお手伝いがしたい、そう思った。

まず、私が出来そうなことは、日本の良いところを、敢えて、口に出して海外に伝えていくこと、文章にして発信していくこと。
多くの外国人の方と話していても分かるが、決して日本を見限っているわけではない。
ただ、単に情報発信があまり上手くない、または戦略的にできていないだけではないか、いや、そもそもする必要がないのかもしれない。
しかし、日本にあまたある「素晴らしいところ」を知ってもらわない手はない。
PR担当が少ないのならば、勝手に私もやってしまおうと、今、まずは中国語と英語で発信する方法を考えているところだ。
そのために中国語を今、必死で勉強中。
来年くらいにはカジュアルに話せるくらいには上達したいと思っている。

そして、もう一つ、私が世界の中の日本を見ていて必要だと考えるのは教育だ。
資源のない国、一番の財産は「人財」である。
その教育にいかに力を入れることが出来るかは、この先、20年、30年を左右する国レベルの重要なミッションだと思う。

特に早期の教育が大切だと思う。早期教育というと、つい英語とか、幼稚園で分数や漢字を覚えさせる、といったような先取り教育が語られがちだけれども、そうではなくて、いかにEQ(Emotional Intelligence Quotient)やCreativity、自主性を引き出していけるかというようなところが、今後、グローバルの中での日本を担う人材育成の可否にかかっているような気がする。
自分が子供を持って改めてこの考えを強くした。
実は今、私のわずかばかりの力で貢献できそうなこととして、乳幼児への上記のようなプログラム立ち上げのお手伝いをしている。
願わくは、将来的に全ての子供たちが質の良い教育を均等に受けられるようになればいいと思う。

そう、この出産というのも私の30代の中で重要な(恐らく、最も)イベントとなった。
そのプロセスでは高齢特有の、また、日本特有の痛みも味わうことになったが、結果的に大きな学びを頂いた。

他にもしていきたいことは山ほどある。
これまで私が多くの世界の著名人たちにお会いして頂戴した感動や興奮を是非多くの方々と共有させて頂きたいし、若い人たちが感じているであろう閉塞感を打ち破る何らかのサポートが出来たらと思うし、まだまだ道のりは長そうだが、日本のダイバーシティー推進のお手伝いもしたい。

と、書いていたら、40になりました。

新たな一歩にワクワクします。
これからも皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。

谷本有香

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